芥川龍之介の「鼻」の紹介


 皆さんこんにちは。編集担当のYです。私は、「売れる本を見れば、今の世相が分かる。」と思います。そして、時代が変わっても変わらず愛される本があります。そんな本の中の一冊、芥川龍之介の「鼻」を今日は紹介します。

 禅智内供は、とても長い鼻の持ち主。その長さのために、人々から陰口を言われていました。ずっと、鼻の長さを気にしていましたが、そのことを周りに気付かれるのが嫌で、気にしていないふりをしていました。

 その長さは、日常生活にも支障をきたすほどで、食事も、弟子が板で鼻を持ち上げなければ出来ないほどでした。一度、この役をしていた弟子が、手が震えて鼻を粥の中に落としてしまい、その話は京にまで伝わりました。

 内供は鏡を見て、鼻が短く見える方法を研究するのですが、短く見えることは一度もありませんでした。

 そんなある日、内供の弟子が長い鼻を短くする方法を聞いてきます。その方法を試すと、随分短くなり、内供は満足するのです。

 ところが、内供の鼻が短くなると、周りの人たちは今までとは質の違う笑い方をするので、内供は非常に不快でした。

 本の中で、「人は誰でも、他人の不幸に同情するものだが、人がその不幸を乗り越えると、なんとなく物足りないものを感じて、もう一度同じ不幸に陥れてみたいというような一種の敵意を抱きます。」との説明があります。

 今回の笑われ方を内供が不快に感じたのは、そのような傍観者の「利己主義」に気付いたからです。

 内供は、段々機嫌が悪くなり、鼻が短くなったことを恨めしく思うのです…。物語は、結論へと続きます。

 この物語は、人間のエゴイズム、自尊心、心の繊細さ等をテーマにしたもので、現代人の心のあり方に似ている部分もあると思います。内供と弟子、周りの人たちの行動や心の動きを読み取りながら読み進めると、面白いですよ。

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